B043.オジさん達の共同生活。コオロギ編。

宮崎県の県北エリアで働き出して約10年。

日向は黒木さん、延岡は甲斐さん、佐藤さん、茂(しげる)さん、興梠(こうろぎ)さん・・・

県民性も異なれば、土地に同じ苗字の人が多い!

現在。

諸事情があり、会社の2階に もうすぐ30歳、40代前半、40代後半の3人のオジさんが暮らしています。

風呂はシャワー。

食事の調理は元給湯室にて。

日々、3オジさん暮らしなので鮮度はゼロ。

区切られた壁は薄いので話し声やクシャミは筒抜け。

とはいっても、住めば都

この環境に完全に慣れてしまって、あまり違和感なく生活をしています。

毎日、毎日。

仕事を終えて、2階の各部屋に戻る・・・そんな代り映えの無い生活。

最近、そんな環境に一つ変化がありました。

少し前から、給湯室の冷蔵庫の後ろで虫の鳴く声が聞こえます。

事務所の2階の給湯室。

風流に秋の季節を知らせる虫の声。

コオロギが鳴いていました。

最初は この鳴き声を聞くたびに

「あぁ、秋の季節、到来だ・・・」

と思っていたけど

あんまり、ずーっと一生懸命 大音量で鳴くので

「大丈夫か?このコオロギ・・・」

と思うようになってきました。

40代後半のオジさんに

「コオロギ鳴いてますよねっ!」

って聞くと

「そうか??」

と、まさかのリアクション。

大音量のコオロギの鳴き声に気づいてない様子。

オジさんが進むと、・・・聞こえなくなるのか?

もしくは、自分だけ・・・聞こえるのか??

・・・ちょっと、恐怖なんですけど。

けれども、しっかりと鳴いている。

そもそも、なんで事務所の2階の給湯室の、それも冷蔵庫の裏で鳴いとんねんっ!

気になったので、コオロギが鳴く理由を調べてみると・・・

1.縄張りを示す為、2.求婚の為、3.・・・

と幾つかあったけれど

1.縄張り ・・・こんなところに他のコオロギは、おらん!!

2.求婚  ・・・こんなところにメスはおらん!!

その不器用さに、少し笑いが。

それから、毎日 鳴いているのを聞いて楽しんでいました。

そして、11月5日。

鳴く声が止まっていました。

気づけば朝は肌寒く、冬の気配。

冬の到来とともにコオロギの声が消えました。

鳴き過ぎて疲れてしまったのか・・・

良きパートナーを見つけてどこかにいったのか・・・

でも、オジさんは寂しいぞっ!

生まれ変わって・・・

コオロギさんでも、興梠さんでも、また いつか何処かで会いましょう!

そんな秋の切ない物語。