B029.力士の香り。

力士の香り。

嗅いだことあります?

私は嗅いだことがありません。

どうして、男同士がほぼ裸の状態でぶつかりあう力士の香りが香水になるのか?

勝手な想像をしてしまいます。

・・・ごめんなさい。

とても、汗臭そうなイメージがします。

どちらかというと、香水のイメージよりファブリーズ。

しかも、消臭される側。

けれども、実際の力士はとてもいい匂いがするのだそうです。

それはなぜか?

その答えは、髪を結う「びんつけ油」の匂い。

成分は、木蝋・菜種油・ヒマシ油・香料・トコフェロール(ビタミンE)が入っているらしいのですが、この「びんつけ油」が甘く、凛とした匂いを醸し出します。

一回、嗅いで見たい!

力士の香り。

そして、力士の香水の香り。

サンプルを取り寄せしてみようと思います。

香りにつきましては、後日お知らせします。

香水といえば、私が大学を卒業して社会人になったときのこと。

当時の上司T氏がブルガリ・プールオムをつけていました。

歳は当時で30歳くらい。関東の国立大を出て、営業実績を積んで管理職となり、東京本社から大阪へ異動してきたばかりの課長でした。

スーツはBEAMS、髪はツーブロック、大阪弁が飛び交うフロアの中でただ一人、標準語で話しています。

学生上がりの新人は上司T氏の「相手を〇〇さんと呼び、自分のことを私」という話し方に重ねて口から出てくるのは標準語。これが社会人か!と衝撃をその言い回しや雰囲気に大人を感じました。

そして、的確な指示と確実な仕事ぶり、着実に数字を作り上げる手腕に尊敬と憧れを抱いていました。

ある日、お客さまから頂いた名刺を無くしてしまった時のこと。

「名刺を無くした?何だそれ?いいか、名刺を交換した人達の中から依頼があって、それでお前はメシを食ってんだろ?それを無くしたってどういうことだよ!!そんないい加減な奴なんか知らねぇよ!」

厳しく叱られました。

大口の案件でスタッフさんのシフトを調整していた時、上司T氏の指示通りに動いてなかったことがありました。

その時には 机の前で、報告用の書類をパーッと投げ付けられ

「なんで俺の言うことができないの?そんなやつのことなんて助けるわけねぇだろ?お前なんて知らねぇよ!勝手にしろよ!」

大声で怒鳴られました。

そして、私は涙ながらに謝ったことを昨日のことのように思い出します。

号泣したのは叱られたことよりも、見捨てられることの方が怖かったからです。

T氏は尊敬できるカッコいい上司、そしてとても怖い存在でした。

だから、今でも。

ブルガリのプールオムの香りがすると、「ハッ」と振り返ります。

あれから20年経った今でも気配を感じるのです。

もはや、パブロフの犬状態。

条件反射です。

スッと私が歩いた後、微かな香りがします。

その香りが部下を程よく緊張させる・・・

・・・カッコいい!

やっぱ、自分の香水もっとかなきゃ!

そうなると、力士の香水が気になる。

それは別で研究とするとして、

今の自分の香りはどうだろう・・・

「ハッ!」

・・・デオコおじさん。