B020.コンチキチン。

Google Earth より

「コンチキチン」と言えば祇園祭のお囃子です。

夏になると、この「コンチキチン」を思い出します。

10年程前まで京都で人材派遣の営業の仕事をしていました。

スタッフさんを派遣する会社を探してきて、スタッフさんを採用して、継続して仕事をしてもらえるようにスタッフさんをフォローする。

そういった仕事でした。

ある夏の日。

派遣先企業さんから電話が入りました。

「スタッフさんが来てないんだけど」

直ちに、スタッフさんの携帯に連絡。連絡付かず。

急いで自宅へ行きました。

その方は当時50歳くらいで男性一人暮らし。画家の仕事もしており、それだけでは収入にはならないので、印刷会社でPCを使った画像修正の仕事をして頂いてました。

もしかしたら、部屋で倒れているかもしれません。

部屋に到着し、インターホン鳴らすも音沙汰無し。

電気メーターは回っているので部屋には居る様子。

何度呼びかけても出てきません。

かといって、部屋で倒れている様子でもないので管理人さんに言って無理やり部屋を空けてもらうわけにもいかず。

上司に報告して指示を仰ぎました。

「そこで、張り込め!」

指示に従い、張り込みました。

朝8時半くらい~12時までずっと、花壇の影に潜んでいました。

それでも、部屋からスタッフさんが出てくる気配はありません。

昼過ぎ、上司が私のところに到着しました。

すると、しばらくしてスタッフさんが突然、自転車に乗って目の前を通過しようとしました。

上司が咄嗟に自転車を抑え、「なぜ出勤して頂いてないんですか?」と、問いただしました。

その瞬間、バランスが崩れ自転車が横に倒れてスタッフさん転倒。

少しだけ、スタッフさんの腕が擦りむけました。

すると、スタッフさん・・・逆上!

「俺の腕にケガをさせたなぁ~!画家の腕に!お前ぇ~訴えてやる!!」

その瞬間。

無断欠勤した側のスタッフさんが被害者となり、

上司が加害者となり、

私が目撃者となりました。

スタッフさんが上司の腕を引っ張り、「警察行くぞー!!」と大声で騒ぎます。

「上司が腕つかまれて警察に連れて行かれてます!」

大阪にいる上司の上司に電話を掛けました。

ズルズル引っ張られながら到着したのは新京極通り入口左の交番。

状況を話すと

基本、警察は「民事不介入なので奥の部屋使って話し合ってくれ」とのことでノータッチ。

しばらくして、上司の上司が大阪からやってきました。

どうやらこのスタッフさん、派遣会社の手数料をどこからか聞いて逆上したようす。

昼から15時くらいまでスタッフによる一方的な怒号が響き、一旦外へ。

それから「お前のせいで次にいく場所の予定時刻に間に合わなくなった!!お前が一緒に行って詫びろ!!」とスタッフさんが上司の腕を引っ張って電話で呼んだタクシーに引きずり込む展開に。

上司の上司は法務部門・顧問の警察OBに電話をかけ対応の指示を仰いでいる最中。

同時に上司の上司は「タクシーには絶対乗せるな!」との指示をこちらに展開。

私は上司の腕を引っ張り、タクシーに乗せないように止める役。

振り返ると「お前、謝れ!!、ここで土下座しろよ~!!」

今度は、土下座を強要されています。

上司の上司は、「土下座はさせるな~!!」と、こちらに展開。

何とかタクシーに乗せるのと、土下座は回避しました。

中々の修羅場。

結局、「スタッフさんが訴えるぞ!」といっても訴える場合には医者の診断書だの、被害届を出さないといけないから、調書を取らないといけなかったりするので一先ず17時に改めてスタッフさんを含む全員が一度、五条警察署に集合することになりました。

一旦解散・・・一時、ようやく落ち着きを取り戻しました。。

上司と上司の上司と3人で五条警察署に向かう途中。

上司のスーツのボタンが取れていることが発覚!

「こ、これはタクシーに乗せられそうになった時にボタンが取れたのでは??」

これは・・・もしかして、もしかして?立場逆転!?

そうなると、こちらは過失。あちらは故意。

上司は被害者となり、

スタッフさんは加害者、

そして私はいつもの目撃者。

急に立ち位置が代わります。

「探せ探せ~!!ボタン探せ~!!証拠を探せ~!!」ということで、「私がボタン探しの特別任務」を任されました。

急いで新京極通りに戻ります。

土曜日の新京極・四条通りの交番前。

行き交う人々。

その前に這いつくばって、必死にボタンを探します。

・・・コンチキチン ・・・・コンチキチン。

その時に聞こえてきたのがこの御囃子でした。

ない・・・ない・・・ない・・・ない・・・

ん?ちがう。

ない・・・ない・・・ない・・・ない・・・

・・・あったぁーーーー!!!

即、上司に電話をしました。

電話の向こうで「でかしたぁーーーー!!」と2人の叫び声が聞こえました。

会心の一撃。ここ数年で一番いい仕事をしました。

その後、五条警察署で警察に目撃者として調書を取られ、終わったのは深夜1時。

ちなみに上司は加害者として2人の警察官に代わる代わる交替で生い立ちから質問を浴びせられボロボロになっていました。

そして、3人でカプセルホテルへ。

結局、スタッフさんは五条警察にも来ず、その後、音信不通となりました。

夏になれば思い出す~♪

四条通のコンチキチン♪♪